イカ加工品について

イカ加工品のいろいろ

1. するめ

魚介類の中で、イカは加工品として消費される比率が約50%と高いことで知られています。するめはイカの伝統的な加工食品の代表格です。平安時代に編纂された「延喜式」(927年)に諸国貢献物として鰒(あわび)、鮭と並んで烏賊が記されています。この場合いずれも乾物で烏賊はするめであろうと考えられています。するめの語が見られるのは室町中期頃からですみむれ(墨群)が転じたものとの説があります。また、祭儀にするめ(寿留女)を供するしきたりも長い歴史があるようです。大相撲の土俵中央に<鎮物(しずめもの)>すなわち地霊への捧物として、洗米、塩、昆布、勝栗にするめを加えた五品が紙に包んで水引をかけ埋め込まれているのをご存じですか。

イカ加工品 1.するめ

するめの種類としてケンサキイカを原料とするするめを一番するめと呼び、長崎県の五島周辺のケンサキイカを使うことが多かったところから五島するめともいわれています。これに対しスルメイカを原料にしたものを二番するめと呼んでいます。一番、二番はかって中国への輸出品であった頃に等級として用いられたものです。また、ケンサキイカやヤリイカの皮をむいて干したものを磨きするめ、これの特大サイズのものを磨き上々番と称し極上品とされていました。

今日では五島周辺のケンサキイカやヤリイカは高級品となり、生鮮品として出荷されることが多く、するめに加工されることはほとんどありません。これに代わってタイやベトナムの海域で漁獲されたケンサキイカのするめが出回っています。タイケンやベトケンも日本の一番するめに負けないぐらい美味です。

2. 塩辛

イカ加工品 2.塩辛

伝統的な加工食品のもうひとつの代表が塩辛です。イカの胴肉を細切りして肝臓を5〜10%、食塩を10〜20%加え10〜20日間熟成させます。肝臓は蛋白質分解酵素として、食塩は保存料として働き、独特のうまみを呈します。原料イカの表皮を剥いだものを「白作り」、そのままにしたものを「赤作り」、イカ墨を混ぜたものを「黒作り」と呼んでいます。

最近は塩分少なめが好まれるため食塩を控えめにし、その分熟成期間を短くしたあっさり味が多くなっているようです。

3. さきいか

イカ加工品 3.さきいか

比較的新しい加工食品の代表が「さきいか」、「いかくん」(イカのくん製)、「いか天」(伸しイカのフライ)等のイカおつまみです。

「さきいか」は戦前からするめを《剥皮→調味→焙焼・伸展→裂き→2次調味》の工程で製造し、「するめさきいか」と呼ばれていました。昭和30年頃イカ裂き機が開発されて量産が可能になり、ブームとなりました。ところが、昭和38年に函館の業者が生イカから製造する方法を考案しました。ソフトな食感が出せるところからソフトさきいかと称されヒットしました。その後皮を付けたまま加工した「皮付きソフトさきいか」が開発され「函館こがね」の名称で売り出されました。現在では「するめさきいか」は姿を消し、この2種類とするめを軽く焙焼して裂いた「あたりめ」が製品として流通しています。

このような品質と衛生をモットーにした工場で作られた製品が全国に流通し、お酒のおつまみとしてだけではなく、女性や若い人にも好まれています。


イカ加工品ができるまで

4. いかくん

イカ加工品 4.いかくん

イカの胴肉を燻煙室で燻乾して製造します。イカ燻製は昭和25年頃函館で開発されたようです。昭和32年からラジオ東京(現TBSラジオ)で放送された「赤銅鈴之助」(当時小学校6年生だった吉永小百合さんが千葉周作の娘・さゆり役のオーディションに合格し、芸能界入りした)が大ヒットし、スポンサーの日本水産(現ニッスイ)がPRしたイカ燻製も番組同様ヒットしました。当時のトリスバーに欠かせないおつまみでしたが今でも根強い人気があります。

5. いか天

イカ加工品 5.いか天

いか天はするめを伸して、のしいかを製造し、これを幅8〜10mmに切断して衣を付け、油揚げしたもの。昭和25年頃岡山、尾道あたりで盛んに製造されるようになり、現在でも尾道、広島が主産地となっています。衣の揚げ方でパリッと仕上げたものとやわらかタイプの2種類があります。いか天はおつまみで楽しむほか、ラーメンの具材にもあうなどいろいろな食べ方があります。特に、有名な広島のお好み焼きに、いか天は必須のアイテムです。

6. その他のイカ加工品

イカ加工品 6.その他のイカ加工品

そのほか、イカのおつまみとして忘れられないものに「のしいか」の甘い味や「酢漬けイカ」の酸っぱい味があります。もう一度おためしになって、駄菓子屋の店先に駆け込んだ腕白時代を思い出してください。

全国いか加工業協同組合

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