韓国 スルメイカ漁低調続く 沖合不振 昨対で3割程度

2024年1月9日

北海道機船協によると韓国の今年度漁期(7~6月)のスルメイカの水揚げは12/15現在で、16,131トン(前年同期比32%減)となった。TACに対する消化率は19.9%と低調に留まっている。

スルメイカに漁獲圧低減案 水研機構が22年資源評価

2024年1月10日

水産研究・教育機構はこのほど、スルメイカの秋季と冬季発生系群について資源評価を公表した。資源量が激減している同魚種について、現状の漁獲圧を弱め、将来の資源悪化リスクを低減させる方向性を提案した。分析内容は次の通り。

〈秋季発生系群〉
2022年時点の推定親魚量は目標の32・9万トンを下回る19・4万トン。23・9万トンだった前年からさらに減少し、限界管理基準値の18・9万トンに近づいた。
22~24年漁期(4月~翌年3月)までの3年間は一定のシナリオで漁獲可能量(TAC)を設定する方針の同魚種。21年度の評価に基づき、生物学的許容漁獲量(ABC)を各年12・7万トンと定めているが、現状の漁獲シナリオを継続した場合、10年後の31年漁期に目標管理基準値を上回る確率は19%、同漁期の親魚量は17・9万トンと予測した。水研機構では22年度の評価を踏まえ、22~24年漁期の漁獲圧ペースβ=0・4をβ=0・25に下げる方向性を提案。31年漁期に目標管理基準値を上回る確率は48%、同漁期の予測親魚量は37・9万トンに増加できると見込んだ。提案した漁獲圧に修正すると24年漁期の漁獲量を12・4万トンから5・8万トンに引き下げることになるが、31年漁期の漁獲量が4・2万トンに落ち込む見込みのβ=0・4に対し、β=0・25では6万トンに増える道筋を示した。

〈冬季発生系群〉
22年の推定親魚量は21年の4・8万トンからは微増したが、目標の23・4万トンを大きく下回る5・6万トン。22~24年漁期の一定のABCは0・5万トンだが、22年の漁獲量は日本だけで1・5万トン、韓国が0・5万トン、他にロシアと中国の漁獲もある。同系群では漁獲圧のペースをβ=0・45に定めているが、31年漁期に目標管理基準値を上回る確率は32%。秋季発生系群と同様、βを0・25にまで下げれば31年漁期に目標管理基準値を46%の確率で上回ると予測した。

生鮮スルメイカ 過去最低水準の不漁続く 23年12月中旬~24年1月上旬

2024年1月12日

漁業情報サービスセンターによると、2023年12月中旬(11日以降)~24年1月上旬(10日まで)の全国主要港の生鮮スルメイカ水揚量(速報値)は237トン。記録上最悪水準だった前年同期を9トン上回るもの、壊滅的な少なさに変わりない。

長崎―山陰、年明け低調、辛うじて三陸の石巻(宮城)で69トン、宮古(岩手)で21トン、大船渡(同)で19トンが揚がり、年明けは富山湾の定置網に入網があるが、例年年明けにイカ釣などで漁獲がある長崎―山陰は「ほぼ獲れていない」。

同センターの記録だと、2014年12月の水揚量は8487トンで、平均キロ単価は257円。一方、23年は425トン、1158円。数量は10年間で95%減、価格は4・5倍ということになる。今冬は「12月以降、例年以上にしけで操業できない日が多い」ことに加え、「資源状態は14年前後から落ち込み、23年は前年をさらに下回る過去最低水準」。スルメイカの寿命は1年のみで、資源量はその年の卵や仔稚魚が生き残れるか、という環境条件が重要となる。ただ、「ここ10年間は再生産(卵や仔稚の生き残り)が失敗している。温暖化や黒潮の蛇行、外国船の影響もあるかもしれない」。

スルメイカ不漁でムラサキイカ操業支援 いか釣り協・中津会長年頭会見

2024年1月12日

全国いか釣り漁業協会の中津達也会長は12日、東京都内で年頭会見を開いた。1日に発生した能登半島地震を受け、船凍船の主要水揚げ港である石川県小木(能登町)の被害状況を報告した。スルメイカ不漁が続く中、今年の取り組みとしてムラサキイカ(アカイカ)操業を進めることなどを説明した。

能登半島地震の被害状況に関して、漁船に大きな損傷はなかったと報告した。小木漁協の冷蔵庫が停電で一時使えなくなった際も、入港していた2隻の中型イカ釣船内でスルメを保管したことを説明した。各地の事業者や関係者からも、被害状況を心配する声が寄せられているという。今後の懸念材料としては、漁が始まる今年5~6月ごろまでに漁船が補修を終えて出漁できる状態になるか、小木港が引き続き水揚げの本拠地としての機能を担えるかなどを挙げた。その上で水揚げの重要拠点である小木の復興を支援していく考えを示した。

昨年1~12月の国内でのスルメイカ水揚げ状況については、TAC報告ベースで1094トンと前年の約40%だったこと、特定3港(北海道函館、青森県八戸、石川県小木)の金額は約21億円と前年の約55%にとどまったと説明した。中国籍と思われるIUU(違法・無報告・無規制)漁船の乱獲でスルメ資源量が激減したことに加え、気象や海洋環境の変化が「ダブルパンチになった」との見方を示した。一方、ムラサキイカの水揚額は約21億9000万円となり、「スルメイカをしのぐ対象種となっている」と説明。「スルメイカ漁獲が確実に見込めない現状下、ムラサキイカとの兼業が経営の安定化につながる」とし、今年の取り組みとして同イカ操業をサポートする考えを示した。2月開催のシーフードショー大阪に出展してPRするなど、引き続き消費拡大にも取り組むとした。

スルメイカ資源管理に関して、今漁期から個別漁獲割当(IQ)制度を導入。1月9日までの消化率は全体1万5300トンのうち7・2%にとどまるという。中津会長は「IQを守ることは重いこと。TACと異なり、船ごとに漁獲量が決まり経営を大きく左右する」と述べ、「もう一度抜本的に資源評価を見直してもらいたい」とした。「イカ釣漁業は資源が減れば漁獲も減り、自然に資源管理ができる」とも指摘し、資源管理を効果あるものとするため、資源管理の実施にあたり網漁業と釣漁業の特性の違いを考慮してもらいたいなどと訴えた。

スルメ不漁が続く中、経営対策として短期的には適切な経営対策を打つことが必須とし、漁業者の要望に応じて当面の無利子融資や漁業共済の活用などを水産庁など関係機関に訴え、早急に手当てしたいとの考えを示した。ロシア水域での操業について、漁業者の希望に基づき24年漁期も取り組みたいとした。